全ての魔力を使い切り、ローゼマインはぱたりと動かなくなった。
いくら呼びかけても、その瞼が開かれることは無い。
首筋に手を当てる。魔力の流れなど無かった。
ローゼマインの体を抱きしめた。
あらん限りの力を込めれば、腕の中で鈍い音がした。
おそらく彼女の肋骨が折れたのだろう。
しかし、彼女が痛がる様子はない。
瞬きを忘れた私の目から涙が滂沱の如く溢れ出た。
心臓が何かに縛られるように苦しくなる。
ああ、私は死ぬのだ。
名を捧げた代償として、私は高みに上がるのだ。
ああ、大変結構だ。
君が行く処に私も連れていってくれ。
ここは礎の間。
私達の魔石と君が身につけている聖典の鍵がここに転がることになる。
誰もここに入れやしない。
私はクツクツと嗤った。