「フェルディナンド様、苦しいのですか?」
月の瞳が私を覗き込んでくる。
ああ、苦しい。とても苦しい。
「今ルングシュメールの癒しをかけますからね」
違う。
そんなもので消える痛みではないのだ。
「フェルディナンド様にルングシュメールの癒しを」
痛みがさらに酷くなる。
しかし、君は気づかない。
「どうですか?フェルディナンド様」
この苦しみは私にとって、とても大事で、重要で、大切なものだ。
例え、この先報われないとしても、知らなかった頃に戻りたいとは思わない。
「……あまり変わらない。君の祈りが足りなかったのではないか?」