ペンを額に

霜月のブログ。当ブログは記事に大いに作品のネタバレを含みます。合わない方はバックしてください。

成人式から星結びの儀式までの期間って美味しくないですか?

成人式・当日

~フェルディナンド視点~

多目的ホールに入った途端、彼女のいる場所がすぐに分かった。
周りなど目に入らないとでもいうように私は大股で彼女に近づいていく。
側近から耳打ちされた彼女は私を見つけてほんわりと微笑んだ。

豪華な装い。上げられた髪。化粧が施され、自分が贈った装飾品を身につけている。
久々に会えたことが嬉しいと雄弁に語る瞳はすでに潤んでいる。
優雅に立ち上がった彼女の前に私は跪いた。

「只今お迎えに参りました、ローゼマイン様」
「ありがとう存じます、フェルディナンド」

社交用の笑みを浮かべながら「光の女神も逃げ出すほどに美しい」と言ってみたが、
騒ぐのは周りばかりで当の本人はぼんやりと私を見つめていた。
こんな日に熱でもあるのだろうかと少々慌てて彼女の首筋に手を当てる。
また周囲が騒がしくなった。
熱はないようだが彼女の様子がおかしい。
じっと見つめていると、彼女がやにわに現実に戻ってきてへにゃりと笑った。

「久しぶりにこうして会えただけで、わたくしは幸せです。・・・では参りましょうか」

手を取って、ゆっくりと講堂に向かって歩いていく。
彼女が身につけているマントは紺。私は未だに黄土色だ。
心の在り処であった色が、今自分に微かな苛立ちを与えていることに気が付いた。


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平静を装いながら実は内心動揺しまくりなフェルディナンド「星結びまで待たないといけないって嘘だろう」
そしてローゼマインの言動は下町の家族と久しぶりに会えたときと同じテンションなのです;
周囲のお嬢様方は真近で繰り広げられるリアル貴族院恋物語に興奮気味ですw
その実態はフェルによる健康診断とローゼマイン的「お久!」という挨拶なのですが;