ペンを額に

霜月のブログ。当ブログは記事に大いに作品のネタバレを含みます。合わない方はバックしてください。

人形

昔の私はまるで綺麗な人形のようだった、と妻に言われたことがある。
それは心地よい疲労感に包まれた、シュラ―トラウムに招かれるまでの寝物語。
今は少しでも変わったのだろうか。


隠し部屋へ入ると、案の定妻はそこにいた。

「ローゼマイン」

呼び掛けても微動だにしない。
いつものことだ。

「ローゼマイン」

夜闇のように全てを覆いつくす濃紺の絹の髪。
ガラスのようにキラキラと光る瞳はただ静に本に落とされている。

「ローゼマイン」

私は隣に腰を下ろす。
美しいその陶磁の肌に手のひらを重ねた。

「ローゼマイン




……なぜ、死んだんだ」