ペンを額に

霜月のブログ。当ブログは記事に大いに作品のネタバレを含みます。合わない方はバックしてください。

神様

あたしは森で神様を見たことがある。
あたしがそう言うとみんな笑うから、普段は言わないようにしてるけどホントに見たんだから。
誰かがそれはお貴族様だと言った。偶然会ったのだろう、と。
けど、違う。あれは、絶対に神様だった。
美しい、全てが美しかったの。

日差しを遮る木陰に二人はいたわ。
木の側に絨毯を敷いて、仲良く腰を下ろしていた。
見たこともないような美しい衣装、美しい装飾品、未だに覚えている。
有り得ないような大きさの布が腕を優しく覆っていて、スカートは布が幾重にも重なりふんわりと柔らかそうだった。
男性のほうも有り得ない豪華さで、燦然と輝く白い袖口が金糸の刺繍に縁取られていたのをやけに覚えている。
男性も女性もとても美しかった。この世のものではない、とあたしにはすぐに分かった。
あんなのが同じ人間であるはずがないのに。みんなときたら。

周囲には微かに美しい音楽が流れていた。美しい人たち、美しい光景。
男性が女性のまっすぐに長い髪を掬ったかと思うと、そっとそれに唇を寄せた。
どうなってしまうのだろう!
あたしは一人で勝手に慌てた。
慌てたことが馬鹿みたいに、何事もなく二人は同じようにそこに居続けた。
あたしは我に返り、一目散に家に帰ったのだ。






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貴族・ローゼマインとフェルディナンドを見た平民の感想というものが書きたかったので、状況に無理があるのには目を瞑ってくださいw
ちなみに、これはピクニックなので(二人の基準からすれば)そんなに豪奢な装いをしているわけではないんです;
領主会議で着る衣装はもっとキラキラ眩しいでしょうね。。。恐ろしいです