潮騒の音がする。
ここは、どこだ。
目の前には濃紺の波が拡がり、キラキラ光って美しい。
私の唯一。
「ローゼマイン…」
ここはアレキサンドリア。
アウブの寝所だ。
しかし、とっくにここは私達の寝所と認識されている。
彼女と星結びを行ってから、視察や討伐などを除くと二人で寝ることが常であった。
二人で一緒に眠りたい。
双方の意見が一致しているのだから、他の意見を聞く必要もない。
私達はここを、私達の寝所にしたのだった。
「ふぁ、フェルディナンド?」
なぜ疑問形なのか。
「…私以外に誰が?」
そう答えれば、ヒャッ!といってぎゅーをしてきた。
全く、これで謝っているつもりなのだろうか。
「おはよう、ローゼマイン」
髪を梳きながらそう言えば、私が怒っていないことを感じたローゼマインがだらしない顔で「おはようございます、フェルディナンド」と言った。
…ああ、今日も良い日だ。
ー