ペンを額に

霜月のブログ。当ブログは記事に大いに作品のネタバレを含みます。合わない方はバックしてください。

顔色の悪いツェント・エグランティーヌとその王配(範囲指定型盗聴防止魔術具作動中)

「今なんとおっしゃいましたか?ローゼマイン様・・・」
「・・・既にわたくしとフェルディナンド様の星が結ばれて、しまいました。神々によって」
「・・・」
「其方らは一体何をしているのだ!?」
「アナスタージウス様、仕様がなかったのですよ。そうしなければユルゲンシュミットの歴史が酷く変わってしまう可能性があったのです。アナスタージウス様とエグランティーヌ様の星結びもなかったことになってしまう可能性すらあったのですよ?」
「うぐ・・・いや、しかし」
「アナスタージウス様、確かに唐突に過ぎますけれど何も問題はないのではないでしょうか?既にお二人は婚約者同士、このまま進めば星を結ぶことになるのですから。わたくしがお聞きしたいのは何故そのことをわたくし達に報告したのか、ということなのです」
「ツェントはご聡明でいらっしゃる。あと一年もすれば私達は星を結びます。つまり、報告などしなくても何も問題はない、と秘することも出来るでしょう。」
「しかし、フェルディナンド様は報告すると決められた。王族が動く必要があるということですか?」
「ご助力頂ければ、と」
「・・・」
「・・・ひとまず、お話をお伺いしてもよろしいでしょうか」


「ーーーつまり、ローゼマイン様の配偶者の立場を未だ狙っている者たちがいて、ローゼマイン様の最終学年では実力行使に出る可能性もある、と?しかし、すでにお二人は神々によって星を結ばれた身。離縁する気もなければ、させられる気もない」
「しかし、フェルディナンド。其方のことだから守りは万全にしているのだろうと思うが?あのシュミルの護衛なぞ凶悪な魔法陣が仕込んであるともっぱらの噂だ」
「・・・もちろん守りには全力を尽くしております。けれども人の心にまで干渉できる魔法陣などありません。悪意に憑りつかれた輩が起こす行動にのみ私の守りは作動いたします。もちろん反撃は最大限に設定しております、ローゼマインが耐え得る程度にですが」
「ありがとう存じます、フェルディナンド様」
「・・・別に王族が動かなくとも守りは万全ではないか」
「お二人にご協力頂きたいのは守りではございません。事後処理です」
「・・・」
「愚かな行いを棚に上げ、アウブ・アレキサンドリアから突然攻撃を受けただの、彼女から誘われただの、自分たちは既に最高神からご加護を頂いているなどと、狂言を奏上するものがいないとも限りません。そのような者に我々がすでに星を結んでいるという正論など通じるはずもございません。ツェントには私の魔法陣での反撃が過剰防衛ではないこと、彼女が誰かの袖に隠された事実などないということを周知させて欲しいのです」
「・・・お話は分かりました。まだ貴族院も始まっていないのになんとも頭の痛いお話ではありましたが、心づもりはしておきましょう」
「其方の心配は過保護すぎると笑えたのならどんなに良かったか・・・あまりエグランティーヌの仕事を増やしてくれるな」
「王族方のご配慮痛み入ります」
「もし事件が起きたなら、わたくし被害者だと思うのですけれど・・・」



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ハ~、またか~~、のアナスタージウス
協力しといて恩を売っとこう、のエグランティー
少しは役に立ってもらおう、のフェルディナンド
貴族院もあと一回か~、のローゼマイン