ペンを額に

霜月のブログ。当ブログは記事に大いに作品のネタバレを含みます。合わない方はバックしてください。

ロマンチカ

「ママも言ってたけど、カイって本当に王子様みたいよね」
溜息とともにリリアンが呟く。
乙女思考についていけない藍はいささか食傷気味だ。
「聖母の次はオウジサマ?」
 ここは公邸のプライベートエリア。リビングルームとして使っている部屋だ。家族とそれに近しい者しか入ることはないので派手な家具など一切無いが、どれも居心地重視の一級品である。壁際には暖炉があり、バイオエタノールによって燃える炎が揺らめいている。
 運ばれた紅茶とケーキを食べながら二人は雑談を続ける。
「だってイケメンよ!?それに頭も良いし、お金持ちでもあるわ。
さらには優雅で紳士的で、純血でもある。そして極めつけは、月の指導者ってこと!どこにもケチつけられないじゃない!?」
リリアンが前のめりになった分だけ、藍は体を引いた。
「字面だけ見れば確かにそうかも知れないけど」
藍にとって、カイが素晴らしいことなんて至極当然のことで、周りから騒がれるのも知っている。
だからと言って、カイ=王子様とは藍のなかで結びつかない。
自分はカイの家族で、カイをよく知っているという自負もある。
乙女の夢見る王子様とカイとの違いを、半ば呆れ半ば自慢気にリリアンに諭そうとした。
「カイは王子様なんかじゃないよ。全然ロマンチストでもないし」
「『カイは論理的』?」
「そう」
ふーん、とリリアンが納得したのかしないのか曖昧な返事を打つ。
殊更ゆっくりとケーキを口に運び、紅茶を啜ったリリアンカップをソサーに戻すと
ひし、と藍を見つめた。
「論理的でロマンチストでもない人がどうして恋人に三四郎を選ぶの?」
痛いところを突かれた。藍の顔が歪む。
三四郎の話題であること。そして、反論出来ないことに唇を噛みしめる。
藍自身、カイが三四郎と付き合っているのは(藍は三四郎を家族とは認めていない)常々おかしい、気に入らないと思っていたのでぐうの音も出ない。
 固まってしまった少年を尻目に、リリアンは最後の一口を食べる。
(カイって案外相当なロマンチストなのかも)
自分の考えに納得したリリアンは、パァと顔を輝かせた。
――――やっぱりカイは王子様だわ!






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少女漫画って大体カッコイイ男と美しい男が出てくる。
そしてヒロインはカッコイイ方と出来上がる。
ちゃんちゃん♪

違うの~!美しい方の男が好きだった私はどうすればいいの~(@@)
カッコイイ男×美しい男のBLは最高だね(逆でも良いが)
カイのように美しいかつカッコイイなら尚更嬉しい
でも私、カイは断じて王子様ではないと思うよ
こんな爆弾みたいな王子がいて堪るか~!